蜂蜜と香草を練り込んだ石鹸の泡はしっとりときめ細かく、
指先の汚れを洗い落としたのちもなおしばらくは
潰れることもなく残って
きれいに整頓された室内に芳香を振りまいていた。
インク壷の中身は、手紙の表書きに添える魔術印を描いて
ちょうど尽き、そのために
この前から少しずつ書き足していた
必要品の買い出し一覧を完成させることはできなかったが、
楽師はあまり深く気にとめず、表の最後にかすれた線を加えることで
インク購入の心覚えと為した。
一覧表そのものを持って出ることさえわすれなければ、
それでよいのだった。
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